京都大学大学院医学研究科 がん免疫PDT研究講座Department of Immuno-oncology PDT
Introduction講座の紹介
がん免疫PDT研究講座(Department of Immuno-Oncology PDT)は日本発の新しい複合がん免疫療法を開発するため、京都大学大学院医学研究科とMeiji Seika ファルマ株式会社の産学連携講座として2021年10月に開設されました。
2014年に抗PD-1抗体を中心としたがん免疫チェックポイント阻害薬(Immune Checkpoint Inhibitor: ICI)が認可され、がん治療戦略が大きく変わりました。現在では既に20種類以上のがん種に対して抗PD-1抗体が認可され、多くのがんにて第一選択治療になっています。一方でまだ半数以上のがん患者さんには無効であり、より効果を高めるための研究と併用療法の開発が必要です。
光線力学的療法(Photodynamic therapy: PDT)は、腫瘍に取り込まれやすい光感受性物質であるタラポルフィン(レザフィリンⓇ)を全身投与したのちに、腫瘍組織にレーザー光を照射し、活性酸素を発生させることで腫瘍組織を変性壊死させる選択的治療法です。PDTはすでに食道がんに適応されており高い効果が認められています。一方でPDTは局所療法になりますので、免疫療法のように全身性の抗腫瘍効果を発揮できるかは未だ不明です。
本講座では、基礎研究と臨床研究を通して、両治療法の長所と短所を科学的に理解し、最大限の抗腫瘍効果が発揮できるICIとPDTの併用療法を開発します。すでに動物モデルを通してPDTが全身性のICI治療効果を増強することを確認しており、今後臨床試験を通してがん患者さんでも同様の全身性反応が見られるか検証します。またこの時の患者さんの検体を用いて、最新の分析手法を活かし包括的に分子メカニズムを解析します。このように基礎と臨床を融合した総合研究が、患者さんに福音をもたらすことと信じ尽力する所存です。